この会誌は、NPOアレルギーネットワークさんを知る契機となったもので大切にしています。
今月は、住環境研究所 一級建築士 福田啓次さんのコラム “住まい 2013” から引用させていただきます。
『エコ住宅を日本の民家から学ぶ
<木製建具ってすばらしい-3>
最近の住まいは家族間でもプライバシーがあるとして、小間切れされた部屋(個室)を並べるつくり方が多くなっています。特に新築時には一人一部屋として、たとえ狭くても子どもの人数分の部屋を要望されことが多いですね。子どもに個室を与えることにはさまざまな論議があり、教育者や建築家からは子育て問題や家族の関わり方での問題がかなりまえから指摘されています。ダニ・カビの管理を必要とするアレルギーの人は、個室は清掃や通風もなかなか出来なく環境整備上のリスクもあります。居心地の良い個室は“引きこもり”がちになり、そのために家族間の“風通し”が悪くなっては意味がありません。
家族のありようや暮ら方と部屋のあり方やつながり方はなかなか奥深いものがあります。日本の少し前の住まいはどうであったのか様子をみてみましょう。
<建具を外せば開放空間>
この地方の古い民家に多い間取りは“田の字”と呼ばれる8帖の和室が田の字状に配置されてたもので、部屋の境には木製建具が間仕切り代わりに使われています。この建具を全部は外せば4×8帖=24帖の開放大空間に変身します。普段は建具で仕切られたプライベートな空間が、何かの家庭内行事の時は開放空間となる使い方は、部屋の用途を決めて個室にドアの出入口という現代的な間取りでは出来ないことです。コンパクトな住まいを家族の成長変化や使い方に合わせて「融通無碍(ゆうずうむげ)」に多用途・多機能に住んでいくのは、日本家屋に古くから用いられてきた「引き戸の木製建具」と「用途を限定しない畳の部屋」の組み合わせです。この知恵を現代に生かさないのはもったいない事です。』
以下、<サザエさんの家>を想定して詳しく解説しておられるのですが、図があるのと長文になるので省略します。